電波で見る宇宙 2019年1月16日(水)

 今回は「X線・ガンマ線で見る宇宙」をテーマに、高エネルギー天文学について紹介しました。

 

 X線・ガンマ線はこれまでの可視光や電波と比べると日常的に馴染みが薄いものです。そのような電磁波で宇宙を観たらどんな世界が見えるでしょうか。

 X線・ガンマ線は電磁波の中でもエネルギーが高いものです。そのような高エネルギーの電磁波は、物を透過してしまうため、可視光や電波と同じ観測方法ができません。また、大気で遮られてしまい地上には届かないため、直接観測には観測衛星を打ち上げなければなりません。そのため、この領域の天文学の歴史はまだ半世紀ほどしか経っていません。しかし、観測技術の向上とともに、驚くべき出来事が露わになってきました。

 

 身近な太陽から、中性子星、ブラックホール、銀河、銀河団と調べていくと、天体のダイナミックな活動や、高温のガスが取り巻く驚異的な環境が見えてきます。そして、その放射のしくみを考えてみると、極限の環境での物理学を追究することができます。

 「宇宙は巨大な実験場」と言われます。地上では再現できない極限の環境が宇宙にはあります。それを観ることで私たちはまさに宇宙規模の実験をしていることになります。

 X線・ガンマ線は馴染みが薄いですが、そんな世界が見えてくることを思い出してみてください。

 

 次回は、2月6日(水)に「マルチメッセンジャーで見る宇宙」をテーマに行います。