自然の色で染物
〜花、野菜でわくわく体験〜

2003/08/29


 

 8月のワークショップカウンターでは「自然の色で染物体験」というテーマで簡単な染物の製作をしています。

 身の回りには花・野草・野菜などの優しい自然の色でいっぱい、その色をいただいて染物に挑戦します。

 染色液を作る方法は、素材によって色の抽出方法(取り出し方)が違いますが、そのうち2つを紹介します。

 色の付いている自然素材(野草・野菜・コーヒー・紅茶・木の実など)を使いホーロー引きの鍋またはステンレス鍋に素材と水を入れて煮出して染色液を作ります。

 花びらやアイ(藍)などの生葉などは熱を加えると、きれいな色が出ないので、花びらは布袋に入れてもみ汁を取り出して酢を加えたり、アイは発酵させたりして染色液を作ります。梅漬けのシソを入れる感覚で作ることができます。

 


花や野菜で染めた作品

 今回は、あらかじめ作っておいたムラサキキャベツやヨモギの液、市販の草木染液を使い、染物を体験します。

 和紙は、折って好みの形に切り、用意した染色液で単色または色を組み合わせて付け染めをします。完全に乾燥させて和紙を開くと作品が完成します。

 染める布としては、一般に絹や毛などの動物繊維の素材が染まりやすいですが、今回は木綿を使います。

 

 布と割りばし、輪ゴムを用意して、割りばしの先を木綿布の中央に押し当て、割りばしの周りを布で包むようにします。その周りを輪ゴムで強く縛ると、輪ゴムで縛ったところに色が付かずに白く円状の模様になります。

 また布を三角形などに折り、短い割りばし2本で布をきつく挟むと星型などの幾何学模様もできます。絞った布は染色液に入れて染めます。水洗いをして、完全に乾燥したら輪ゴムを解いて作品が完成します。

 植物などを煮出した染色液だけでは色が安定しないので、水に溶かした金属と化学反応させて固着・発色させると色が落ちにくい染物ができます。この方法を「媒染(ばいせん)」と呼びます。この金属液を「媒染剤」といいます。

 身近な媒染剤は、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)でナス漬けの色だしにも使われている薬品です。ほかに木酸鉄、酢酸銅などを使います。媒染剤によって同じ素材の染色液でも色が異なって染まるので微妙な色を楽しめます。

 科学館では限られた時間内での体験ですが、アイ染めやロッグウッド染めに挑戦します。アイ染めは染色液だけで染めます。ロックウッド染めは染色液で染めてから媒染剤を使って染色します。乾燥した布の絞りの輪ゴムを解く瞬間のわくわく気分は最高です。

 
 

(事業課展示情報係 大越 清美)

 

2003年8月28日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より