浮力の不思議
〜夏休みに研究しよう〜

2004/05/27


 プールやおふろに入ると、からだが軽く感じることはだれでも体験していることですね。どうしてでしょうか? 簡単な実験でその秘密を探っていきましょう。

 


【写真A】浮かんだり、沈んだりは浮力の違い

 そこで問題です。次の[1]〜[4]のコップにミニトマトを入れたとき、トマトが浮くのはどれでしょうか?

 [1] 食塩水(塩大さじ2杯)
 [2] 水
 [3] さとう水(砂糖大さじ2杯)
 [4] 油

 正解は【写真A】の通りです。

 

 水の中では、物を押し上げようとする力(浮力)が働いています。通常の水では、トマトの重さで沈みますが、食塩水とさとう水は、水に比べると塩や砂糖を溶かしたぶんだけ浮力が大きくなってトマトが浮きます。逆に、油は水より軽いので浮力が小さくなり、トマトは沈みます。

 このように、同じトマトを浮かべようとしても、液体の種類や濃さによって浮力は変わるのです。

 普通の海水よりも何倍も濃い塩の湖(中東の国にある「死海」)では、人間は泳ごうとしなくともラッコのように浮かびます。また、水には沈む重い鉄でも水銀には浮かびます。

 この浮き沈みを利用し、農家では、塩水(15%)に稲の種もみを入れて沈んだものだけを選んで、よい苗を育てます。他にもこの原理を用いてプラスチックなどの資源ごみの分別にも利用されています。


【写真B】同じ重さでも体積が異なる場合

 

 次に、鉄は水に沈むのに、鉄でできた船はなぜ浮くのでしょうか?

 その秘密を探る実験が【写真B】です。

 沈んでいる粘土と船のような形をした粘土の重さは同じです。水に沈むものでも形を変えれば浮かびます。粘土の体積が大きくなったことで水から受ける浮力が大きくなったためです。このように、「浮き沈み」には、液体の種類や濃さ、そして浮かべるものの体積が関係しています。

 また、このようなさまざまなものの「浮き沈み」の現象は、水や油、石油などの液体だけでなく、空気中などの気体の場合でもみられます。

 浮力の実験は、工夫しだいでたくさんできますので、夏休みの自由研究などで挑戦してみるとおもしろいかもしれませんね。

 
 

(事業課 難波 泠)

 

2004年5月27日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より