科学の広場

月の魅力楽しんで 〜12月6日から多彩な企画〜

 立冬も過ぎて、秋も深まってきましたね。寒くなると、空気が澄んで夜空がとてもきれいに見えます。今回は、そんな夜空で最も明るい天体、「月」がテーマです。

◆私たちと月
 
 月は、地球に一番近い天体で、古くから人類の生活や文化に深くかかわってきました。例えば、月の満ち欠けから作られた暦は毎日の生活に欠かせないものとして、一部の国や地域では今日でも使われています。また、西洋のオオカミ男伝説や、日本のかぐや姫の物語などでは、月は重要な存在として描かれています。


月周回衛星「かぐや」 (C)JAXA

◆研究される月
 
 月はエジプトやギリシャなど、古代文明の天文学者たちをはじめ、多くの科学者によって研究されてきました。中でもガリレオは、望遠鏡を使って、クレーター(天体が衝突した跡)など、月の地形を観測することに成功しました。さらに、今から約40年前には、アメリカやソ連が探査機を月へ送り、また、アメリカは宇宙飛行士による直接探査も行いました。こうした探査の結果、月の裏側の様子や月面の環境などが少しずつ明らかになりました。 

◆ふたたび、月へ
 
 そして昨年9月、日本も月周回衛星「かぐや」を打ち上げました。「かぐや」は、2機の子衛星とともに、14種類の観測機器を使って、月の立体地図作成や、月面の氷探査などの成果を挙げました。

 また、「かぐや」の月探査は、地球生命の研究にも貴重なデータを提供しました。「かぐや」の観測機器では、これまで分からなかった直径数十メートルの小さなクレーターも見つけることができます。


 本県出身の研究者で、宇宙航空研究開発機構の春山純一博士たちは、「かぐや」で観測したすべてのクレーターについて、ひとつひとつ解析を行いました。その結果、約40億年前に多くの小惑星が月に衝突したことが分かりました。ちょうど、地球に生命が誕生したころです。月に多くの小惑星が飛んできていれば、その近くにある地球にも多くの小惑星が衝突したはずです。

 東北大学理学部の掛川武博士は、地球へ降り注いだこれらの小惑星が、地球に生命を誕生させる原因になったと考えました。小惑星に含まれていた鉄分が、海中に含まれていた炭素・アンモニアなどと衝突し、地球に生命を誕生させるために必要なアミノ酸がつくられたと推測しました。この説は、今後のさらなる実験・研究によって、確かめられていくことでしょう。

 こうして今、再び注目されている「月」。月を調べることは、私たちの地球を調べることにもつながります。科学館では、12月6日より、「月」をテーマにしてさまざまな企画を行います。身近な存在でありながら、多くの謎に包まれた「月」の魅力をぜひお楽しみください。

(事業課 梅本 顕史)

2008年11月13日 福島民報新聞 情報ナビ タイム「スペースパーク便り」より