科学の広場

空気を使った楽しい実験、工作

 目には見えないけれど、私たちはいつも周りにある空気の力に押されています。

 今回は、そんな「空気の力」がテーマです。


画像1 吸盤

 

 しかし、いつも押されていると言われても、空気に押されていると感じることはありません。では、本当に空気の力で押されているのでしょうか?

 空気の押す力は、身近なある道具を使う時に、知らないうちに利用しています。その道具とは、「吸盤(画像1)」です。ご存じのとおり、吸盤は壁にぴったりと張りつけて使います。そのぴったりと張りついた吸盤は、引っ張ってもなかなか外すことはできません。その力こそ、空気が押す力なのです。

 この吸盤、ぴったりと張りつけるためには、少々コツがあります。それは、平らな壁にしっかりと押しつけて、間に空気が入らないようにすることです。ですから、吸盤をでこぼこした壁に押しつけたり、しっかり押しつけないと、間に空気が入ってしまい、ぴったり張りつけることができません。

 これは、空気の力と関係しています。吸盤を壁に押しつけると、空気が吸盤を壁に向かって押すことで、吸盤がぴったりと張りつきます。



画像2 壁面と空気の力の関係

 
 では、でこぼこした壁ではどうでしょう。

 吸盤をでこぼこした壁に押し付けると、空気が壁に吸盤を押すだけでなく、吸盤と壁の間にある空気が吸盤を壁から外す方向に押すため、ぴったりと張りつけることができません(画像2)。

 このように吸盤には空気の力が重要な役割を果たしています。吸盤を使う時には、知らないうちに空気の力を感じていたんですね。

 この空気の押す力、一体どのくらい強い力なのでしょうか?

 身近なところで例えると、親指の爪の大きさに1リットルのペットボトル1本分もの重さがかかっています。これが、畳1畳分の広さになると約17トン、なんと軽自動車約17台分もの重さになります。

 
 どうしてこれほどの力がかかるのでしょうか?

 この空気の力の正体は、空気の重さです。空気の重さは地表ですと、水に比べて1000分の1程度しかありません。

 しかし、私たちにかかる空気の重さは、私たちのいる場所から上、宇宙空間までの間にある空気等の全ての重さがかかっているので、大きな重量になるのです。まさに塵(ちり)も積もれば山となるといったところでしょうか。

 2月に科学館では、日曜・祝日のみ開催の科学の工作教室「サイエンス広場」で、「空気」をテーマにした工作を行います。

 また、3・4月にはサイエンスショー「見えないけれど力持ち!空気のちから」を、休館日を除く毎日開催いたします。目には見えない空気の力を使った楽しい実験や工作を、科学館でぜひお楽しみください。

 
(郡山市ふれあい科学館 事業課 梅本 顕史)

2010年2月4日 福島民報新聞 情報ナビ[たいむ] 「スペースパーク便り」より