アインシュタインに迫る(4)
〜デジカメに「光量子仮説」〜

2005/10/26


   

 アインシュタインが考えた理論というと、とても難しそうだし、きっと自分には関係がないだろうと思っていませんか? なかには現代の私たちの身近なところで役立っている理論もあるのです。ここで、その一部をご紹介しましょう。

 

   


デジタルカメラを解体したもの。下部中央にあるCCDチップで光が電気信号に変えられる。

 写真を撮るのにデジカメ(デジタルカメラ)を使っている方も多いでしょう。携帯電話についているカメラも同じです。

 デジカメには、アインシュタインが考えた「光量子仮説」が関係しています。この理論の中でアインシュタインは、金属に光が当たると電子が飛び出す「光電効果」という現象が起きる仕組みを解明しました。デジカメは光電効果を応用して作られており、入ってきた光が電気信号に変えられるため写真が電子画像になります。

 

  また、最近ではカーナビ(カーナビゲーションシステム)の付いた車も多くなりました。現在地もすぐ分かり、道案内もしてくれるのでとても便利ですが、これもアインシュタインの「相対性理論」のおかげなのです。

 カーナビは複数の人工衛星から電波を受信し、電波の届く時間差から計算して自分の位置を知ることができますが、そのためにはカーナビと人工衛星の時計がぴったり合っていなければなりません。しかし相対性理論からは「人工衛星の時計は地上の時計に比べると、高速で動いているために遅れるが、重力の弱いところにあるために速く進む」と考えられ、この二つの効果を合わせると人工衛星の時計の方が速く進むことになってしまいます。

 私たちが相対性理論を知らなければ、二つの時計のずれを予測して補正することができず、位置情報も一日で何キロもずれてしまい、カーナビは使いものにならなくなってしまうのです。


人工衛星から電波を受信して車の位置を知らせるカーナビゲーションシステム(イメージ図)

 

(事業課 石原 裕子)

     

2005年10月25日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より