宇宙への挑戦(1)
福島大学 〜「連星」研究で謎を解明〜

2006/01/12


   

 今回から宇宙について研究を行っている現場をご紹介します。宇宙の研究というと私たちとは別世界のように感じますが、みなさんの近くでも行われているのです。福島大学(福島市)の中村泰久教授(人間発達文化学類)の研究室では宇宙の天体の中で、主に「連星」の研究が行われています。連星とは二つ以上の星(恒星)がお互いの周りをまわっている天体で天文学において非常に重要なものです。

 

   


研究室の様子

 みなさんは宇宙にある星の重さや大きさがどのようにして分かるのか不思議ではないでしょうか? 星はとても遠く、望遠鏡を使っても点にしか見えず、大きさは分かりません。しかし、連星は互いを回転することにより明るさや色(スペクトル)が変化するものがあります。これを詳しく調べることで、連星を構成する星たちの大きさや重さを知ることができるのです。

 

  この研究室ではコンピューターシミュレーションやモデル計算などの理論的研究が行なわれているほか、天体望遠鏡を用いて連星の明るさの変化を調べる観測も行われています。観測は何夜にもわたって、細かく明るさの変化を調べていきます。このような観測や研究が進められた結果、非常に短い周期で振動する(震える)不思議な星が見つかっています。

 実は夜空の星の半分以上は連星です。ですから、連星を調べることは星を知ること、宇宙を知ることにつながります。こうして各地でさまざまな研究が行われることにより、少しずつ宇宙の謎が明らかになっていくのです。次回は小惑星探査機「はやぶさ」の開発に携わった会津大学の様子をご紹介しましょう。


大きな明るい星の手前を暗い星が横切ることで明るさが変化する (C)GOTO

 

(事業課 近藤 正宏)

     

2006年1月10日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より