宇宙への挑戦(2)
会津大学 〜「はやぶさ」の探査支援〜

2006/01/26


   

 会津大学は平成5年に開学した、日本初のコンピュータ専門の大学ですが、ここでも宇宙への挑戦が行われています。

 昨年12月に、日本の打ち上げた探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」への着陸に成功したニュースが大きく取り上げられましたが、既に報道のとおり着陸成功には会津大学の役割が非常に大きかったのです。

 

   


浅田教授(前列右)・出村講師(前列左)と学生たち。「はやぶさ」の探査では3ヶ月交代での徹夜作業が続いた

 今回「はやぶさ」の探査で、会津大学の浅田智朗教授・出村裕英講師と学生のチームは、さまざまな形でコンピュータ技術による支援を行いました。大きな役割として、小惑星のまわりを回る探査機の視野、探査機の動きを3次元で表現するソフトを作成し、探査機の飛行状態を確実に把握できるようにしたほか、探査機が撮影した画像からイトカワの立体的な形状がわかるようにしました。この他にも、断層などイトカワ表面の地形を自動で調べられるソフトなどを作成しています。

 

  浅田教授はこれまでに、月などのクレータ形成や小惑星など、出村講師は火星のクレータなどの月・惑星の地形学を研究していました。現在はマルチメディアシステム学講座で、コンピュータを用いての画像解析などの教育と研究に当たっています。

 宇宙とコンピュータのかかわりは非常に密接です。今回のような探査において、私たちが直接見ることのできない宇宙における状態を限られた画像と数字のデータから目に見える形で、3次元的に表現することが可能になったのは、コンピュータ技術によるところが大きいのです。


会津大学のチームが開発したソフト「HARMONICS」。 探査機の置かれた状態を正確に知ることができる

 

 現在は、日本の月探査「セレーネ」計画の準備を進めているそうです。再び始まる福島から宇宙への大きな挑戦に期待しましょう。

 

(事業課 安藤 享平)

     

2006年1月24日 福島民友新聞 「ふくしま星空散歩」より