星の広場

世界天文年 宇宙の魅力(8)「土星を見よう」

 最近、夜の8時ごろ西の空低い所に明るい星を一つ見つけることができます。その星が土星です。他の星がキラキラ瞬くのに対し、土星はあまり瞬きませんので、見比べてみてください。

 初めて望遠鏡で土星を見たのは、おそらくガリレオ・ガリレイでしょう。1610年に見た時には、土星の周りに星が二つ並んでいるように見えました。その後、1612年に見たところ、両側の星が消えていました。ガリレオはその後も土星の観測を続けましたが、結局土星の周りに見えた二つの星の正体を突き止めることはできませんでした。

 現在では、土星の周りには大きくて薄い環があることが分かっています。その姿は神秘的で、観望会でもとても人気がある星の一つです。ただ、土星の環は直径20万キロメートル以上もありますが、その厚さは数百メートル程度しかありません。例えば、土星の環の大きさを郡山市くらいだとすれば、土星の環の厚さはCDを数枚重ね合わせた程度です。



土星の環の変化 (C)GOTO


 
 土星は環を傾けながら、太陽の周りを約30年かけて回っています。そのため、地球から見ると、環の見え方が年々変わっていきます(図参照)。そして、約15年毎に環を真横から見るため、環が見えなくなります。それが、今年2009年です。ガリレオが1610年に見た、土星の周りにあった二つの星は、土星の環の姿であり、1612年は、ちょうど土星の環が見えなくなる年だったのです。

 もし望遠鏡をお持ちでしたら、ぜひ土星に向けてみてください。環の姿は見えるでしょうか? 間もなく8月11日には、土星の環は完全に見えなくなります。ぜひ、望遠鏡で土星を眺め、珍しい「環のない土星」の姿をお楽しみください。

 
(郡山市ふれあい科学館 事業課 近藤 正宏)

2009年7月29日 福島民友新聞 郡山版「世界天文年 宇宙の魅力」より