郡山市ふれあい科学館では2019年5月26日(日)に、第36回 星の講演会「太陽の脅威とスーパーフレア」を開催しました。

 今回は、京都大学教授で日本天文学会会長の柴田一成先生にお越しいただき、太陽の活動とスーパーフレアの可能性についてお話いただきました。

 

 福島県と京都大学は非常に遠い距離にありますが、実は天文分野では深い結びつきがあります。京都大学の宇宙物理学教室を設立した新城新蔵博士は会津の出身で、旧制福島中学校(現在の安積高校)で学んだ歴史があります。柴田先生にとっても、新城博士は師匠の師匠の...にあたるそうです。

 今回の話題である太陽について、まずは太陽で起きる活動を、日本の太陽観測衛星で先生も運用に携わられた「ようこう」や、現在も活躍する「ひので」の映像などを交えながらご紹介いただきました。特に、柴田先生のアイデアと喜多郎さんの曲で作成されたDVD「古事記と宇宙」から、太陽活動の映像パートを上映いただき、音楽とともに太陽表面の様子についてダイナミックな様子を見ていきました。

 

 太陽の活動はオーロラなどの美しい現象だけでなく、地球にもさまざまな影響を与えます。大規模なフレアが発生した際には、かつて変電所の変圧器が故障し停電の大きな影響を与えたほか、人工衛星の運用に支障をきたすなど、人間の活動にも大きくかかわってきます。

 そのような影響がある中で、柴田先生らのチームが発見した、太陽型の恒星に起こる「スーパーフレア」が太陽に起きた場合の甚大な影響と、その可能性について紹介いただきました。かつての地球でもスーパーフレアの影響によって、生命の絶滅や進化に影響を及ぼした可能性についても紹介されました。柴田先生からは、今後の私たちにとって宇宙や太陽を研究し理解することが、いっそう重要になるとご指摘がありました。

 

 質疑も非常に多くの方からありました。講演会終了後も柴田先生を多くの方が囲んで質問をされていました。

 柴田先生、ご参加のみなさん、ありがとうございました。