天文学Q&A

太陽

A. およそ50億歳です。地球の年齢は、岩石の中に含まれているある種の放射性元素の割合を調べることで、およそ47億歳と推定されています。太陽系ができあがるとき、太陽と各惑星はほぼ前後して生まれたと考えられています。放射性元素の割合で出す年齢の測定にはどうしてもあいまいな部分が残るので、太陽の年齢はおよそ50億歳と言ってよいでしょう。

A. 今後五十億年くらいは、今と同じようにほぼ安定して光り続けるでしょう。でも、その後には膨張して地球の公転軌道に達するくらいまで大きくなり、その表面温度は今より下がって赤い星になります。太陽の中心核で起きている核融合反応の燃料の水素の量は少なくなる一方なので、そのうち中心核内の水素はなくなってヘリウムばかりになります。そうなると核融合反応は中心核を取り囲む外側の球殻状の部分で起こるようになり、エネルギーを発生する面積が今よりも大きくなるので、その熱で膨らむのです。

A. 太陽の表面温度は六千度です。太陽からの放射の強さを波長を横軸にしてグラフを書くと、六千度の物体からのものとほとんどぴったり一致しているので、表面温度がその温度だとわかります。ちなみに、太陽の外側のコロナの温度はおよそ二百万度です。コロナのスペクトルを見ると、ある原子でしか起こりえないエネルギー遷移による輝線があります。そのような遷移が二百万度ほどの高温でのみ起こる現象なので、コロナがその温度だということがわかりました。でも、なぜ、表面では数千度ほどの温度が、それより外側のコロナでそこまで上昇しているかの仕組みについては、よくわかっていません。

A. 太陽から惑星間空間へ放出されている高速の粒子の流れです。太陽のX線写真を見ると、コロナがなくなっているように見える領域があります。ここでは粒子がつねに吹き出していて、それが太陽風となっています。太陽風の一部は地球の磁場にとらえられて、地球大気に衝突して光を発します。これがオーロラです。

太陽系

A. 木星のガリレオ衛星のひとつ、ガニメデが半径2634キロメートルあり、最大です。二番目は、土星の衛星タイタンで、 半径2575キロメートルです。 地球の衛星の月も半径1738キロメートルあり、五位に食い込んでいます。惑星の中でもっとも小さい、半径1137キロメートルの冥王星よりも大きい衛星があることになります。(出典:理科年表)

A. 地上から水星が見えるのは、明け方か夕方の限られた時間です。 それも時期によっては見えにくいことがあります。水星は地球よりも太陽に近いところを回っている惑星なので、地球から見ると太陽とある角度以上離れることがありません。金星もそうですが、水星は金星よりも太陽に近く、また金星ほど明るくないので、なおさら見るのが難しいです。

A. あります。小惑星の中には、地球に近づく軌道をとるものがあります。 実際に、これまでに小天体が地球に衝突してできた跡が地球上にはいくつか残っています。もし、直径が数キロメートル以上の小惑星が地球に衝突したら、地球の環境は大きく変わり、地球上の生命は絶滅するかもしれません。

恒星・星間物質

A. 十メートルからせいぜい二百メートルほどの厚みしかありません。環は、大きさが数ミクロンから数メートルほどの大小さまざまな 氷や岩石が集まってできています。土星ができたころの材料の残りでできたという説と、衛星どうしがぶつかって壊れてできたという説などがあります。

A. 内部で核融合反応を起こして光っています。物質が酸化して燃えるという化学反応では、太陽が生み出している莫大なエネルギーを説明できません。また、太陽自身の重力によって収縮するさいに、位置エネルギーが熱に変換されていると仮定してみても、一億年ももたずにつぶれてしまうことになります。これでは地球上に生命が生まれる時間が稼げませんしね。核融合反応では、水素原子同士が衝突してヘリウムに なるときに減った分の質量が莫大なエネルギーに化けます。 恒星は、自分の身を削って光を出しているのです。

A. 宇宙を漂う塵と星間ガスが収縮して生まれます。塵やガスからなる雲は自分自身の重力によって収縮して、密度の濃い部分がどんどん育って、星の種になります。このとき、収縮により温まって生じた熱による内部からの圧力と、 中心へ向かって落ち込もうとする重力が釣り合った状態で、原始星と呼ばれます。原始星は輝きながらそのエネルギーを少しずつ失っていって、やがて熱による圧力が減少し、中心核がさらに収縮します。中心核の温度がおよそ一千万度に達すると、核融合反応に火がつき、安定して輝き始めます。これが恒星の誕生のシナリオです。

A. 太陽よりずっと重い星の最期の姿です。星は核融合反応で輝いています。 核融合反応では、例えば水素がヘリウムへ、ヘリウムが炭素へと、合成されることによってエネルギーが生み出されます。しかし、核融合によって鉄より重い原子が合成されることはありません。 なぜなら、あらゆる元素の中で鉄がもっとも安定しているからです。 これは、鉄からは核融合によってエネルギーを 生み出すことはできないということを意味します。太陽の質量の5倍から8倍以上の星は、核融合の燃料を 太陽よりずっと速く使い切ってしまいます。 そうなると、もはやエネルギーを生み出すことができなくなり、 星は自らの重力に負けて一気につぶれていきます。 中心核の密度は急激に上昇して圧力を取り戻し、 そこへめがけて周囲からは次々と物質が落ちてくるので、中心部から外側へ向けて衝撃波が生じます。この衝撃波が星の表面にたどり着いたとき、星は一気に明るくなります。これが超新星として観測されます。

A. 星雲は銀河の中にあり、星の周囲のガスが光って見えている天体です。一方、銀河は天の川銀河と同じような、星の大集団です。星雲はその光りかたやなりたちの違いによっていくつかの種類に分類されます。輝線星雲は、生まれたての星の光をうけて電離した周りのガスが光を出しているものです。自ら光るのではなく、周りの星の光を反射している星雲は反射星雲と呼ばれます。惑星状星雲は、太陽ほどの重さの星がその生涯の末期に見せる姿です。星のガスが周囲に球殻状に滲み出したものが環状に見え、中心には燃え尽きた星の芯が残っています。

銀河

A. 一千億から一兆個程度あるのではと考えられています。大部分の星は、星間塵やガスに隠れていて見えないので、天の川銀河にある星をすべて観測して数えあげるのは、まったく無理な話です。 だから、天の川銀河全体の質量を見積もって、その中から星以外の重さを差し引いて、それを星の基準となる質量で割るなどして だいたいこの程度ではないかという数を出しています。

A. わりに近い銀河なら、例えばその中にあるセファイド型の変光星の明るさの変化の周期を測定できるので、それから絶対光度が割り出せます。それを見かけの明るさと比べて距離を出します。遠い銀河なら、例えば超新星を使います。 ある種の超新星の極大光度を一定だと仮定すると、それを見かけの明るさと比べることで距離が出ます。 天体までの距離を測るには、他にもいろいろな方法があります。郡山市ふれあい科学館には、天体までの距離を測る方法の原理を説明した展示コーナーがございますので、参考になるかもしれません。

A. すべての星が銀河に属しているわけではありません。ある銀河に他の銀河が近付くと、重力の影響でもともとその銀河の中にあった星々が銀河の外に放り出されることがあります。

A. あります。これまでの観測から、太陽の数百万倍もの質量が天の川銀河の中心部のごく小さい領域に含まれていることがわかっています。そのような高密度なものとして考えられる唯一の可能性はブラックホールです。

宇宙論

A. 銀河からやってくる電磁波のスペクトルを調べると、その銀河が視線方向にどのくらいの速さで動いているかがわかります。そうした観測の結果、アンドロメダ銀河などごく近くの銀河を除くと、すべての銀河は天の川銀河から遠ざかっていることがわかりました。それも、遠い銀河ほど速く遠ざかっているのです。すべての銀河でそこにいる人から見て周りの銀河すべてが遠ざかっていると考えれば、上の事実を説明できます。 銀河の入れ物自体、つまり、宇宙が膨張しているというわけです。

A. 存在していることは確かだけれども、光や電波など電磁波では見ることのできない物質のことです。 例えば、渦巻銀河の回転速度を調べてみると、銀河の外側までほぼ一定の大きさになっています。これは、光や電波で見える物質に比べて大量の物質が銀河の外側に存在していることを意味します。ダークマターの正体が何なのか突き止めようと、多くの科学者が研究に取り組んでいます。

A. 今まで観測された天体のうち、もっとも遠くにあるのはクェーサーと呼ばれる天体です。クェーサーの特徴のひとつに、スペクトル線が赤い方へ非常に大きくずれていることがあります。その理由としてもっとも広く受け入れられているのは、クェーサーが非常に遠方にあって、宇宙の膨張のためにそのスペクトルがずれていると解釈する考え方です。クェーサーは銀河の一種であり、その中心核から莫大なエネルギーを放出している天体だと考えられています。大量の星が一気に作られたり、中心核に超巨大なブラックホールがあったりしてそのものすごいエネルギーを出していると考えられています。

A. ある限られた領域に、一定以上の質量が つめこまれているとき、強い重力のために その中のから普通の物質はもちろん光さえも 脱出できないような空間ができます。これがブラックホールです。大質量星はその一生を終えるとき、自分自身の重さで無限につぶれていってブラックホールになると考えられています。また、銀河の中心部にも巨大なブラックホールが存在する証拠が見つかっています。銀河中心のブラックホールがどうやってできたかは現在研究途上にあって、宇宙初期に形成されたとする説や、複数のブラックホールが合体してできたとする説があります。

地球・月

A. 地球の重力の強さが月の手前の部分と奥の部分とで違うからです。月にはたらく地球の重力の強さは、月の地球に近いところと遠いところで違っていて、地球に近いところほど強く引っ張られています。この力で地球と月を結ぶ方向に月全体が引き伸ばされています。月ができてから長い年月がたつうちに、膨らんだ面がいつも地球へ向いているようになったと考えられています。

A. 月の地球を回っている軌道面が、地球の太陽を回っている軌道面とぴったり一致しているわけではないからです。月の軌道面と地球の公転面とは、五度傾いています。このため、太陽と月と地球が一直線に並ぶことはそんなに頻繁にはありません。郡山市ふれあい科学館にある、「太陽系シミュレーター」を動かしてみると、そのことが一目瞭然です。

A. 地球に天体が衝突して生まれたという説が有力です。この説では、ちょうど地球ができあがりかけたころ、火星くらいの大きさの天体が衝突し、地球のマントル部分までえぐるようにして吹き飛ばし、その物質が集まって月になったと考えられています。

A. オーロラは、太陽からやってくる粒子が地球の大気にぶつかったときに起こる発光現象です。衝突のとき、大気中の原子や分子に束縛されている電子はいつもより高いエネルギーの状態に移ります。電子がまた元の安定した状態へ戻るときに、そのエネルギー差に応じた波長の光が出ます。オーロラでよく見られる緑色の光は酸素原子によるものです。